陶器用語集

1. 素材

磁器 ・焼成温度:1,250~1,300℃
・焼成方法:還元焼成
・特  徴:青味がかった白色で透明感があり、叩いた時に金属音を発する。
      上釉薬をかけているので、長く使っても汚れや臭いがつきにくく、耐久性がある。
      焼成温度が高いため、発色される釉薬色が限定されてしまう。
ニューボン
(半磁器)
・焼成温度:1,250~1,300℃
・焼成方法:酸化焼成
・特  徴:生地に含まれるにカオリン(粘土)などの成分と焼成方法により、柔らかいアイボリー色をしている。
      色味に柔らかさがありつつ、陶器より強度が高い。
陶器 ・焼成温度:1,200~1,250℃
・焼成方法:酸化焼成
・特  徴:柔らかさのある少し黄味がかった白色で、叩いた時に鈍く低い音がする。
      磁器に比べ、厚手で重く、温かみのある素朴な風合いをしている。
      焼成温度が低いため、鮮やかな釉薬色でも発色する。

2. 焼成方法

還元焼成 ・焼成温度:1,250~1,300℃
・窯の中を酸素不足の状態にし、不完全燃焼(蒸し焼き状態に)させる焼成方法。
・釉薬や生地の成分が高温で酸素と一緒に焼かれてしまうため、発色される釉薬色が陶器より限定される。
酸化焼成 ・焼成温度:1,200~1,250℃
・窯の中に十分酸素を送り込み、完全燃焼させる焼成方法。
・釉薬や生地の成分を酸素と結合させるため、鮮やかに発色させられる。

3. 絵付け

上絵付け
(オングレーズ)
・焼成温度:約800℃
・絵柄が釉薬の表面に描かれているもの。
・本焼きした釉薬の上に着色し、上絵窯(絵付け専用の窯)で焼き付ける絵付方法。
・特  徴:焼成温度が比較的低いため、製造コストが比較的安い。
      絵柄が釉薬上についているため、かすり傷や耐薬品性等がイングレーズより劣る。
      ※但し、昇華転写等の有機物を用いた加飾よりはるかに堅牢。
       絵柄がシャープに見える。

●転写絵付け
・焼成温度:約600~800℃
・製品に転写シート(※1)を貼り、焼き付けることで絵柄を定着させる方法。
・ほとんどの材質に適しており、陶磁器だけでなくグラスへの転写も可能。
・特  徴:様々な色を出しやすく、数量に関係なくローコストで作成できる。
      赤・オレンジ・青・紺などの顔料が温度に敏感で、変色しやすい。
      ※製品の素材により、焼成温度や顔料は異なる。

      転写シート(※1)
      ・専用の紙にシルク印刷でデザインを写し、カバーコートをかけたもの。
      ・シートは水で剥離させ、製品に手作業で貼り付ける。
下絵付け
(イングレーズ)
・焼成温度:1,000~1,350℃
・絵柄が釉薬に埋没している(又は、絵柄の上から釉薬がかけられている)もの。
・一般的には、素焼した生地に絵を施し、その上から釉薬をかけ本焼きする絵付方法。
 技術が発達したため、下絵用の絵具を使用した転写シートを用いると、高温で焼くことで、
 釉薬の中に顔料を溶け込ませて発色させることができる。
・特  徴:焼成温度が高いため、製造コストが比較的高い。
      絵柄が釉薬に埋没しているため落ちにくく、絵柄の耐久度が上がる
      生産工程が少なく済むが、色が出にくく、絵柄がややぼけて見える。
     (これを風合いが良いととらえる場合もある)


●撥水絵付け
・焼成温度:1,200~1,350℃
・撥水材の混ざった下絵具を、素焼きに直接印刷する手法。
・特  徴:下絵具が水性の釉薬を塗ると弾くことで、凹凸感のある仕上がりを楽しめる。
      絵柄が剥げないが、細かい線を表現するのが難しい。
      小ロットには向いておらず、色・形状・印刷できる範囲が制限される。

●銅版絵付け
・焼成温度:1,200~1,350℃
・銅版におこした絵柄を和紙に転写し、素焼きに写し取る手法。
・特  徴:インクの量や生地への貼り方が一つ一つ異なるため、手作りの温かみがある。
      上絵付に比べてコストが高く、製造日数が掛かる。
      素焼きで手配できる形状に限りがあるため、展開できる商品が少ない。

・銅版印刷とシルク銅版印刷の2種類がある。

〇銅版印刷
・材料の銅板および製版が高価であるため、小ロットには向かない。
・絵柄が釉薬の下に入るため、剥がれることがまずない。
・コストは版代(印刷以外の制作費)も含めると転写絵付けより高くなる。

〇シルク銅版印刷
・版代が銅板印刷の数分の1に抑えられるため、小ロットでも製作しやすい。
・ただし、色と商品の形状が限定され、ベタの多いデザインには適していない。
・なるべく細い線でできたデザインに向いている。

4. 印刷

シルク印刷 ・絵柄部分が抜けた版を使い、直刷りもしくはシートやパットに絵具を載せる印刷方法。
・孔版印刷(※2)の一種で、以前は絹(シルク)の繊維のスクリーンを利用していたため、
 シルクスクリーン印刷と呼ばれていたが、今では省略されシルク印刷と呼ばれている。
・現在では絹の代わりに、より張りに強く耐摩耗性に優れたナイロンの化学繊維が主に使われている。

孔版印刷(※2)
・版にインクを付けて印刷するのではなく、版自体に穴をあけ、そこからインクを擦りつける印刷方式
昇華プリント ・専用インクを使い、インクジェットプリンターで転写紙に反転したデザインを印刷し、
 特殊な樹脂加工をした本体に貼り加熱することでデザインを染み込ませる印刷方法。
・市販のプリンター同様、4色分解で表現するため、特色や白インクはご利用できない。
・シルク印刷と異なり、製版が不要なため、小ロット・短納期で対応できる。
 絵柄がぼやけやすいが、写真やイラストなど、グラデーションの表現が得意。

5. インク

無機インク ・陶磁器等の焼き物で伝統的に用いられている顔料
・100%ガラス・金属でできており、耐候性・耐久性に優れている。

●サテンカラー
・転写用のサンドブラスト調のインク。
※ガラス用のみご用意がございます。
・線幅・抜き 0.2mm以上

●雲母カラー
・転写用のメタリック・パール調のインク。
※陶磁器用・ガラス用どちらもご用意ございます。
・線幅・抜き 0.2mm以上


●ラスターカラー
・透明感のあるクリアな光沢をもったインク。
※陶器用はパール調の1色、ガラス用は5色の用意がございます。
・ガラス用はステンドグラスのような表現が可能。
・線幅・抜き 0.2mm以上

有機インク ・石油などから合成した顔料
・無機インクに比べ、発色は鮮やかだが、耐候性・耐久性が劣っている。

●メタモカラー
・注いだ飲み物と常温時の温度差で色が変わるインク。
・温感インクは温かくなることで、冷感インクは冷たくなることで、色が変化する。
※絵具の層の厚みで高価を得るため、線が細いと色の変化を楽しめない。

●蓄光インク
・太陽光や電灯で蓄えた光を暗所で発光させるインク。
※絵具の層の厚みで高価を得るため、線が細いと色の変化を楽しめない。

耐酸コート ・印刷インクを使った面と食品が触れる場合に施すコーティング。
・インク・釉薬の一部に含まれる鉛やカドミウムは、大量摂取すると健康を害する恐れがあるため、
 食品衛生法の溶出基準を下回るよう、
 コーティングを推奨している。
・コーティング版はデザイン部分と別版扱いとなるため、1版分追加となる。
釉薬 ・素焼きの陶磁器の表面をガラス化させるために使用する薬剤。

6. 加工

口線 ・口元に一周ラインを入れる加工。
・陶磁器はカラー・金・銀、ガラスは金・銀のご用意がございます。

色釉薬 ・本体を着色するために、色のついた釉薬を使用する加工。

●ドボ塗り
・本体を釉薬にドボンと付け、全体に色を付ける塗り方。

●塗分け
・陶器の内側と外側の色を変える塗り方。
・塗分ける境い目にラインを引き、2回に分けて色付けをする。
吹き付け ・本体にインクを吹き付けて、色を付ける加工。
刷毛塗り ・刷毛を使って本体を着色する加工。

7. その他

白版 ・下地の色の影響を防ぎ、発色をよくするために、絵柄の一番下に敷く白インクの版。
・本体が印刷色より濃い場合や、ガラスなど透明な物に印刷する場合に推奨する。
製版 ・シルク印刷で作成したスクリーンを版と呼び、この版を作ることを製版と言う。
・版は1色に対しを1版使用します。
鉄粉 ・陶磁器の素材である粘土や釉薬に含まれる鉄分が、焼成時に酸化し、本体の表面に出てきてしまう状態。
網点 ・絵柄の濃淡を点の大小の集まりで表現する方法。
・点が大きく、点の数が多いと、点同士の隙間が少なくなるので濃く見える。
 反対に、点が小さく、点の数が少ないと、薄く見える。
モアレ
(モワレ)
・印刷の仕上がりにみられる意図しない柄の出現。
・模様が複数重なった際、デザインの周期のズレによって発生する。
カラーモード ・色を表現する方法。

●CMYK
・印刷物での色の表現に用いられるカラーモード。
・C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(クロ)の4色の“インク”で表現する。

●RGB
・テレビやパソコンのモニター等での色の表現に用いられるカラーモード。
・R(レッド)・G(グリーン)・B(ブルー)の3色の“光”で表現する。

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